科学的根拠であるエビデンスには信用度の違いがあり、エビデンスレベルと呼びます。
エビデンスレベルは行われた研究の手法などによって判断されています。
レベルは全5段階あり数値の低いものほど信用レベルが高いということです。
レベル1+
質の高いランダム化比較試験(RCT)※aおよびそれらのメタアナリシス(MA)※b/システマティックレビュー(SR)※c
レベル1
それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2
前向きコホート研究※dおよびそれらのMA/SR、事前に定めたRCTサブ解析
レベル3
非ランダム化比較試験※e、前後比較試験、後ろ向きコホート研究、ケースコントロール試験およびそれらのMA/SR、RCT後付けサブ解析
レベル4
横断研究、症例集積※f
※a質の高いランダム化比較試験(RCT)とは
無作為化比較試験ともいいます。
2つ以上の治療法や検査法などを比較する臨床試験では、対象となる患者さんを2つ以上のグループに振り分けますが、その際にコンピュータの乱数表やくじ引きなどの方法を用いて、作為性が入り込まないようにする試験のことです。
患者さんを振り分ける際に偏りが生じないため、治療法や検査法の有効性を客観的に調べることができるので、結果の信頼性は高いとされています。
※cシステマティックレビュー(SR)とは
医学雑誌や学会発表などから臨床試験の報告を集め、その内容を評価し、要約してまとめたものです。
最近では客観的な立場から、試験方法や解析方法などが一定の基準を満たした医学論文を集め、内容を厳しく吟味(ぎんみ)して、その結果を報告したものを指すのが一般的です。
系統的レビューともいい、一般にエビデンスとしての信頼性は高いとされています。
※bメタアナリシス(MA)とは
システマティック・レビューのひとつです。
病気や治療法など共通した研究データを集め、統計学的な手法を用いてデータを統合し、総合的に評価する方法です。
過去の多数の研究結果から、一定の見解を導き出すために用いられます。
一つひとつの試験の結果が異なる場合や、症例数が少なくて正確な評価ができない場合などに有効な手法です。
メタ解析ともいいます。
※d前向きコホート研究とは
コホートとは集団という意味です。
ある病気が発症する危険性の高い集団と、そうでない集団を長期間観察して、病気の発症率や進行の程度、死亡率などを調べる研究方法です。
例えば、喫煙習慣のある集団と禁煙習慣のない集団の数年後の病気の発症率などを比較すると、喫煙が病気の発症に及ぼす影響を検討することができます。
※e非ランダム化比較試験とは
試験の対象となる患者さんを2つ以上のグループに振り分ける際に、無作為化の手法を用いずに振り分け、比較を行う試験のことです。
グループ間で患者さんに偏りが生じる可能性があるため、結果の信頼性はランダム化比較試験よりもやや劣るとされています。
※f症例集積研究とは
ケースシリーズ研究ともいいます。ある治療法を、何名かの患者さんに用いて治療経過や結果を観察し、そのデータをまとめて報告したもので、記述研究のひとつです。
症例集積研究では対象となった患者さんの数は多くなっても、結果を比べる対照を設けていないことが多いため、症状の改善や副作用の発現などがその治療によるものかどうか明らかにすることはできません。
そのため、他の分析的研究よりもエビデンスレベルは低いとされています。
上記の基準に含まれないものは、すべてエビデンスとは見なされません。
もちろん、すべてヒトの研究論文であり、動物実験研究論文はありません。
ちなみに今回例に挙げました糖質制限の効果については、エビデンスが多数あります。
今回は割愛しますが、安心して取り組めるダイエット法ですので、おすすめです。