卵の調理法は様々あることが分かりましたので、本題に入っていきます。
皆さんは卵の栄養素が体の中に吸収されるのは生卵でもゆで卵でも同じだと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、卵は加熱する時間の長さによって、栄養の吸収の仕方や効果が変わってきます。
特にタンパク質は熱変性により吸収率が変わってきます。
研究によると、熱した卵に含まれるタンパク質のうち人間の体は91%も吸収出来るのに比べて生卵の場合はたった51%しか吸収できないそうです。
他の栄養素はどうなのでしょうか。
比較しながら見ていきましょう!
①生卵
加熱せず、生たまごで味わううえでの一番のメリットは「ビタミン」の吸収率、特にビタミンB群の栄養を多く摂ることができるところです。
「なんだか元気が出ない、なんとなくパワーが出ない」そんな時は、生の状態でたまごを味わうことで、効果的にビタミンを摂取でき、元気をチャージできるかもしれません。
しかし、生で食べるのは、栄養価を損なわず理想的ではありますが、アルブミンというタンパク質が未消化のまま吸収され、アレルギーの原因になる場合があります。食べ過ぎは注意です。
②半熟卵(黄身、白身がトロトロ)
半熟たまごは、「どの栄養素を最も吸収できるのか」というより、もっとも体に負担をかけずに、たまごの豊富な栄養素をまんべんなく吸収できるのが特徴です。
最も体への吸収が良い半熟たまごは温泉卵くらい柔らかい状態のものです。
ちなみに半熟たまごと固ゆでしたたまごでは、消化吸収にかかる時間が1時間も違うと言われています。
「栄養を体に優しく、すばやく摂りたい」というときは半熟たまごが良いでしょう。
③ゆで卵
ゆで卵と生卵の栄養成分を比べたときに、極端に大きい違いはありませんが、熱に弱いもの(レシチンやビタミンB群)は少し減少してしまいます。
しかし、ゆでたまごで味わう場合に特に得られるのが「ビタミンH」である「ビオチン」いう栄養素。
ビオチンには髪の毛を作る成分が多く含まれており、育毛効果が高いとも言われています。
実は卵を料理することによる悪影響もあります。
研究では、料理することにより卵に含まれるビタミンAを約20%減少させることが分かっております。
熱に晒す時間を出来るだけ短くすることで影響を減らすことができるようです。
40分オーブン調理された卵ではビタミンDの損失が61%に上ったのに対して、軽く炒めるかゆでる場合では18%にまで損失率を抑えることが出来るそうです。
高温で料理することでコレステロール酸化物(オキシステロール)という物質が生成されます。
このオキシステロールは動脈硬化を悪化させる原因物質と見られており、摂取を出来るだけ避けるべきものです。
このオキシステロールは高温で揚げた料理に多く含まれ、フライドチキンやフライドポテト、天ぷらなどがその代表です。
これらのことから、どの食べ方にも良い部分、懸念点があるため、用途によって使い分けることが良いと思います。