ラットプルダウンと懸垂、筋肥大しやすいのはどっち?
― 実は「直接比較した研究」はほぼありません
「ラットプルダウンと懸垂、結局どっちが背中は大きくなるんですか?」この質問、現場でも本当によく聞きます。
結論から正直に言うと、“筋肥大そのものを直接比較した研究は、ほぼ存在しません。”
ただし、判断のヒントになる研究はあります。
筋肥大は、
「筋活動が起きたか」ではなく、「十分な張力を、安定して、繰り返せたか」で決まります。
Brad Schoenfeldらによる筋肥大に関するメタ分析(2017)では、
筋肥大に最も重要なのは
①機械的張力
②総ボリューム(回数×セット)
③再現性のあるフォーム
であり、「どの種目か」は二次的要因だと結論づけています。
👉 つまり
ラットプルダウンか懸垂か、
という“種目名”自体に優劣はつけられない
というのが、現時点で最も科学的に誠実な答えです。
「直接比較した研究」はあるの?
✔ 筋肥大量(MRIやDXA)を比較したRCT
→ ほぼ存在しない
✔ あるのは主に筋電図(EMG)による筋活動比較研究
例えば、Hewitらの研究では、
- 懸垂
→ 体幹・前腕・肩甲帯の筋活動が高い - ラットプルダウン
→ 広背筋への安定した筋活動
が示されています。
⚠️ ただしEMGは
「どれだけ筋が“働いたか”」は示しますが、
「どれだけ肥大したか」を直接示すものではありません。
生理学的に見る“違い”
■ ラットプルダウン
- 負荷を細かく調整できる
- 可動域・フォームが安定
- 限界近くまで狙った筋に張力をかけやすい
→ 筋肥大に必要な条件(張力×ボリューム)を満たしやすい
■ 懸垂
- 自体重+安定筋が強く関与
- フォームが崩れやすく、再現性に個人差
- 強度調整が難しい
筋力・運動能力向上には非常に有効だが、 筋肥大目的では調整が必要!
駒沢のパーソナル現場ではこう使い分けます
TRAINER’S GYM 駒沢大学店では、
- 筋肥大フェーズ
→ ラットプルダウンを主軸に - 背中の完成度・動作の強さUP
→ 懸垂を段階的に導入
という設計を行います。
「どっちが正解か」ではなく、
“今のあなたが、張力を安定してかけられるか”それが一番の判断基準です
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記事の担当者:小野厚太朗


